今回は第2回の続きとなります。
第2回では接客の5要素のうち、POPが担えるのは「音声」「立体的」「情報提供」であると述べました。
ひとつずつ見ていきましょう。今回はまず「音声」についてです。
接客のスタートは音声によるコミュニケーションです。
いきなり目の前に立ちはだかって無言でジェスチャーをはじめる店員さんがいたら恐怖しますよね。
まずは「いらっしゃいませ」「こんにちは」「なにかお探しですか?」「キャンペーンやっております」などと
お客様に音声を使ってコンタクトをするのが普通の接客だと思います。
ここで、「プッシュ型接客」と「プル型接客」を分けておきましょう。
プッシュ型接客とは、店員からお客様に積極的に話しかけ、売り込んでいくタイプの接客です。
アパレルの接客や、店頭での推奨販売などがこれにあたります。
スマホの画面に強制的に表示される通知のことを「プッシュ通知」と呼びますが、同じ意味で使われています。
対して「プル型接客」とは、お客様の方から話しかけられてからそれに応対する形で接客する形式のことを言います。
通信キャリアのカウンター接客や飲食店の接客などがこれにあたります。
この2つのうち、POPはプッシュ型接客の代替となります。なぜなら、お客様がPOPに話しかけることはなく、
話しかけられてもそれに応対することは今のPOPでは不可能だからです。
では次に、効果的なプッシュ型の接客音声とはどのようなものでしょうか?人による接客で、
とにかく通り過ぎる人全員に声をかけていくのであれば、内容はなんでもいいと思います。
例えば「いらっしゃいませ!」と全員に声をかけて、こちらを見てニッコリしてくれた人にだけ追加で話しかけていくスタイル。
しかし、あいさつに返事をくれた人が商品を買ってくれる人だとは限りません。
無視して通り過ぎていった人の中に、本当のターゲットがいるかもしれません。
このスタイルは「とにかく人と話す」という目的においては効果的ですが、「商品を買ってもらう」
という目的においてはベストとは言えません。何よりも「とにかく話しかけて応対してくれる人を捕まえる」というのはPOPには不可能です。
「カクテルパーティ効果」という心理現象をご存知でしょうか。ワイワイと雑然としているパーティ会場でも、
隣のテーブルで自分の話題を話されたときに「え?なに?今ワイのこと話してなかった?」と聞こえてしまう現象のことを指します。
たくさんの音声情報が乱立している中でも、自分に興味のある情報を瞬間的に抽出して処理できる、人間の不思議な能力です。
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