
正月太りや、春から夏に向けて体型を気にしてダイエットを考えるお客さまからの相談が増えていませんか?
「ダイエットにいいサプリは?」
「友達から聞いたんだけど、このサプリがいいんでしょ?」
「このサプリ、副作用とか大丈夫?」
このような相談はあるあるだと思いますが、返答に困ってしまう場合もありますよね。
OTC(一般用医薬品)の販売には自信があっても、サプリメントの説明となると難しく感じる登録販売者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、店頭でのダイエット相談に苦手意識を持つ登録販売者に向けて、相談時の悩み解消に役立つ内容を紹介します。
前半ではダイエットの基礎知識(カロリー計算・食事・運動の考え方)を、後半ではサプリメントの成分解説や接客時のアドバイス方法を詳しく紹介します。
サプリメント販売が苦手な方でも、お客さまに適切なアドバイスができるようになる内容です。
サプリメントの知識に役立つツールも最後に紹介しますので、最後まで読んでいただけますと幸いです。
※本稿は登録販売者専門の転職サポートサイト「アポプラス登販ナビ」で連載中の、小池雄太薬剤師のサプリメント解説コラムを一部再編集したものです。
目次:
・減量に必要なカロリーはどのくらい?基礎代謝量と推定エネルギー必要量とは?
ー基礎代謝量とは
ー推定エネルギー必要量とは
ー具体例で考える(30歳女性、体重55kg、身長160cm)
・食事制限だけで痩せることはできる?運動は必要ない?
ーカロリーをコントロールすることが大切です!
ー食事量はどのくらいがベスト?
ー運動による消費カロリーを把握しよう
ー脂質・糖質・タンパク質の摂取バランスはどのくらいがベスト?
・お客さまのお悩みと現状を把握しよう!
ーお悩みの方向性に合う選択肢を提供しよう!
・サプリメントの成分がわからない!質問で困らないための無料ツール!

よく食事と運動のバランスが大事と耳にすると思うのですが、具体的にはどの位の食事量・運動量がいいのかについては触れられないこともありますよね。
ダイエットの基本は「摂取カロリー < 消費カロリー」にすることです。
食事は摂取カロリーと関係し、運動は消費カロリーと関係します。
ただし、過度な食事制限や運動のしすぎは、健康に生きるために必要なエネルギーが足りず、体調を崩す原因となりますので注意が必要です。
一人一人のお客さまに具体的なアドバイスをするためには、
基礎代謝量と推定エネルギー必要量について理解しておきましょう。
基礎代謝量とは、生命維持に必要な最低限のエネルギー量です。
1日中まったく動かずに横になっていたとしても、生きるためにエネルギーは消費されていきます。
基礎代謝量を下回る生活を続けると、健康的な身体を維持することが難しくなりますので、
過度なダイエットは避けるようアドバイスすることが大切です。
年齢、性別、身長、体重によって異なりますが、目安として以下の計算式があります。
【基礎代謝量の計算式(Harris Benedictの式)】
・男性:66 + (13.7 × 体重kg) + (5.0 × 身長cm) – (6.8 × 年齢)
・女性:655 + (9.6 × 体重kg) + (1.7 × 身長cm) – (4.7 × 年齢)
参考:臨床病態栄養学第4版
「基礎代謝量 計算」などで検索すると計算サイトが出てきますので、ぜひ調べてみてください。
基礎代謝量は、基礎代謝基準値 × 参照体重として簡易計算できるよう紹介されていることもあります。
参考:日本医師会ホームページ「健康の森」
いずれにせよ、基礎代謝量を把握することで「最低限どれくらいカロリーを摂らないといけないか」などの基準がわかります。
推定エネルギー必要量は、日常生活で消費する総エネルギー量の目安です。
【推定エネルギー必要量の計算式】
基礎代謝量 × 活動レベル
※活動レベルは下記の3択から選択します。
【活動レベルの目安】
・低い(1.50):生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合。
・普通(1.75):座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、
あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合。
・高い(2.00):移動や立位の多い仕事への従事者。
あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合。
この方の場合、基礎代謝量は約1,300kcalです。
普通の活動レベルなら、1.75倍した約2,300kcalが1日の推定必要エネルギー量になります。
基礎代謝量は約1,300kcalのため、それを下回る生活を続けると生命活動の維持に支障が出る可能性があります。
また、例えば1日あたり500kcalの過剰摂取(約2,800kcal)を1カ月(30日)続けた場合、15,000kcalを余分に摂取することになり、これは体脂肪量に換算すると約2kgに相当します。

食事制限のみで痩せることは可能だと考えられますが、運動不足だと筋肉量が徐々に減少してしまう可能性があります。
筋肉はエネルギー代謝を行う場でもあるため、筋肉量が減少するということは、エネルギー代謝の効率が悪くなる(燃費が悪くなる)と考えられます。
そのため、食事と運動と組み合わせることで、より健康的にダイエットができると言えます。
ダイエットでは「1日480kcalの調整」を目標にすると、1カ月で約2kgの減量が期待できます。
これは、1kgの体脂肪を燃焼させるためには約7,200kcalのエネルギー消費が必要と考えられているためです。
1日480kcalを抑えることで、1カ月(30日)で14,400kcal(約2kg分)を消費できる計算になります。
※脂質は1gあたり9kcalですが、体脂肪は約80%が脂質、約20%が水分などで構成されているため、体脂肪1gあたり7.2kcalと考えられます。
参考:カロリーとは|タニタマガジン | タニタ
1日あたり480kcalを減らす方法として、食事で240kcal、運動で240kcal に分けると、無理なく実践しやすくなります。
【カロリー制限時の注意事項】
極端なカロリー制限は、筋肉量低下や体調不良などの原因になるので注意しましょう。
先ほど紹介した基礎代謝量を目安に、体に負担となるカロリー制限はしないようにしてください。
食事量は、基礎代謝量を上回りつつ、推定エネルギー必要量以下の範囲内で考えましょう。
【カロリーの目安】
・おにぎり1個:約170~250kcal
・からあげ3個:約250kcal
・フライドポテト(Sサイズ):224kcal
食品のカロリーは「食品名 カロリー」などで検索すると調べられます。
運動による消費カロリーの目安は以下の通りです。
【体重60kgの方の30分の運動量】
・ウォーキング(時速4km):約95kcal
・ジョギング(時速8.3km):約284kcal
・縄跳び(ゆっくり):約277kcal
「ウォーキング カロリー」などで検索すると計算サイトが見つかります。
参考:ウォーキングの消費カロリーの計算、ランニングの消費カロリーの計算、縄跳びの消費カロリーの計算
食事バランスの優先順位は、①タンパク質量を確保、②脂質を20~30%に抑える、残りのエネルギーを糖質で調整することです。
【タンパク質量の目安(18~64歳)】
・男性:50~65g
・女性:40~50g
※日本人の食事摂取基準(2025年版)の推定平均必要量、推奨量参考。
【栄養素別エネルギーの割合】
・タンパク質:総摂取カロリーの13~20%(1g=4kcal)
・脂質:総摂取カロリーの20~30%(1g=9kcal)
・糖質:総摂取カロリーの50~65%(1g=4kcal)
参考:日本人の食事摂取基準(2025年版)スライド集について|厚生労働省

お客さまがどのような悩みを持っているのか、具体的に質問しましょう。
接客時のポイントは、サプリメントの接客としてではなく、日常生活のアドバイスやOTC(一般用医薬品)の選択肢も考えてお悩みを引き出すことです。
「糖質は、米、餅、パン、麺類、イモなども含まれますが、食べ過ぎる物はありませんか?」
「中性脂肪は、脂分だけでなく糖質を摂りすぎた場合にも増えますが、思い当たることはありますか?」
「運動はされていますか?」
「睡眠はしっかりとれていますか?」
最初の話しかけが苦手な方は、「どれかお迷いですか?」「よろしければ違いのご紹介をしましょうか?」などと
聞いてみましょう。
もし断られた場合は、「私は今日1日いるので、何かあれば気軽に相談してくださいね。」などと
伝えて去れば、私の経験上いやがられることは少ないです。
お客さまから話を聞いて接客の方向性が見えてきたら、紹介できる選択肢を示しましょう。
ポイントは「自分が紹介できる選択肢」です。
すべての知識が備わっていれば困ることもないのですが、どうしても知識に差は出てしまいますし、お店にある商品も限られています。
知ったかぶりをして誤情報を伝えてしまわないよう注意が必要です。
サプリメントの内容がわからずに、接客時に困ってしまったことはありませんか?
アポプラスキャリアでは、下記のようなお役立ち資料を無料で提供しております。
①サプリメント成分一覧表
成分一覧表では、成分の作用や機能、注意点など、ダイエットに関する成分約70種類をまとめた一覧表です。
サプリメント(製品)ではなく、成分毎に報告されている論文などの情報を抜粋してまとめております。
②アドバイスチャート
お客さまの悩みに応じて適切な成分選びのお手伝いができるフローチャートです。
OTC(一般用医薬品)の選び方や日常生活のアドバイスなども含めて、接客の方向性を考える際に役立てられる資料です。
③理解度チェック・接客トレーニングカード
①②の内容を中心に一問一答、4択問題などで知識を定着させるためのツールです。
これらのツールを活用し、知識が不足している場合でも自信を持って接客できるようになりましょう。
下記より無料登録をしていただくことで、資料のダウンロードが可能です。
今回(前編)は、店頭でのダイエット相談に苦手意識を持つ登録販売者に向けて、基本的な考え方を紹介しました。
ダイエットの基本となるカロリー計算の具体的な方法や、食事・運動による摂取量・消費量を押さえることで、お客さまの疑問にスムーズに答えられるようになります。
また、アポプラスキャリア限定の無料ツールとして、自己学習に役立つ①サプリメント成分一覧表、
②アドバイスチャート、③理解度チェック・接客トレーニングカードを用意しました。
お客さまの悩みに合わせたアドバイスが自信をもってできるようにするためのツールですので、ぜひ活用してください。
次回(後編)は、ダイエット系サプリメントでよく見る成分を具体的に紹介しますので、ぜひ見てみてください。(近日公開予定)
掲載元:![]()
著者
小池 雄太(こいけ ゆうた)
【資格】
・薬剤師
・国際中医師(※)
・シニアハーバルセラピスト
・YMAA認証マーク取得
※医師ではありません
【所属】
・合同会社フリラ・プラス(代表社員)
・薬剤師の業務委託は小池サービス(個人事業主)
【業務内容】
個人事業主では、福岡県を中心にフリーランス薬剤師として調剤薬局をメインとして活動中。
合同会社フリラ・プラスでは、調剤薬局向け・フリーランス薬剤師向けのサポート業務を主におこなう。
SNSでは「くくたる フリーランス薬剤師」として、市販薬・漢方薬・フリーランスに関する情報を発信中。
【執筆・監修】
・『0→1を達成!フリーランス薬剤師超入門ガイドブック ~退職から1年目までにすべきこと~』(Kindle出版)
・『多様な働き方!フリーランス薬剤師超入門ガイドブック2 ~1年間の継続でわかったこと~』(Kindle出版)
・『ハーバルセラピスト&シニアハーバルセラピスト試験対策!メディカルハーブ単語帳』(Kindle出版)
・じほう出版『知らないと絶対損する 薬剤師のためのお金の強化書』(フリーランス薬剤師に関するコラム執筆)
・株式会社くすりの窓口(医薬品、漢方薬、サプリに関するコラム執筆)
・株式会社ファルモ(Every Pickの製品紹介記事執筆・動画制作)
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