てんとうむしweb編集部が『POP』の概念を覆し、POPカルチャーを世に啓蒙するコチラのコンテンツ。

第3回は『ちんあなご(助手1号)』氏による、『帽子POP』をご紹介いたします。
POPと言えば手書きPOPやボード、ダミー…そんな固定概念を覆し、もっとPOPという言葉を広く、文化的な意味にできないだろうか——。今回の記事に共感いただけましたら『★いいね!』ボタンを押してください。

 

自宅POP』『POPお座り娘』に続いての『帽子POP』。
早くも混迷を極めつつあるこのコーナーの先行きに不安を抱きながら、長年数々の什器を手がけてきた巨匠、ちんあなご(助手1号)氏に取材を行いました。

 

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――今回はPOPアートの製作過程を見せていただけるということですが、『帽子POP』とはどういうものでしょうか。

ちんあなご(以下ち):文字通り、頭にかぶるPOPのことです。販促物ではないので正確にはPOPと呼ばないのかもしれませんが、見た目は完全に面白いです。

 

――…えー、では早速製作にとりかかっていただけますでしょうか。

ち:どんなPOPや什器でも同じですが、まずイメージラフを書きます。その後に展開図を書きます。
今回はてんとうむしを帽子にしようかな…ぶえっ!キモっ…!!!

 

――!?どうされました?

ち:画像検索したら無数のてんとうむしが…数が多いと気持ち悪い…。画像載せますか?
あ、入力ミスったらAKBっぽい写真ばっかりになった。てんとうむChu…?
てんとうむチュは2013年7月にAKB他各グループの研究生メンバーから選抜され結成した派生ユニットで…

 

――そんな画像は要りませんしウィキらないでください。遊んでる場合じゃないですよ。

ち:てんとうむしを再現する為に画像検索したんですよ。遊んでるワケではありません。
AKB詳しくないからメンバーで知ってる人一人もいないわ。
あれ?この小嶋 真子ってこの前こじはるとジャンケンして負けた人じゃないの…?
ホラ!やっぱそうだ!

 

――詳しいじゃないですか…いや、引き続き調べないでください。

ち:(さらさら~)こんな感じですかね。

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ち:でも、これじゃ面白くないから羽が開いている状態にしようかな。
てんとうむしWebを活用して、店頭から羽ばたいていく店頭販促の虫を表現しました…みたいな。
羽ばたいた後は近隣の競合店に着地。在職時の情報をもとに、前の店舗を徹底的に叩きます。

――勝手に転職させないでください。前の店舗にどれだけ恨みがあるんですか。
あと全然上手いこと言ってませんよ。

 

ち:今回は帽子なので厚紙を使います。
ラフを元に切ったり貼ったりしながら、おおまかな形を作っていき、それを元に展開図を書きます。
てんとうむしWebに掲載する為にちゃんと設計しますが、自分で使うだけであれば手作業のままで作れます。
仕事柄いろんな厚紙がたくさんあるのですが、店頭で作る場合は、要らないチラシとか、気に入らないタレントを使っている什器をこの際ひっぺがすとか、原型を作るだけであればなんでもいいと思います。

――さらりとヘンなこと言わないでください。怒られますよ。
まあ廃棄する什器などの厚紙部分なら良いかもしれませんね。でもこっそりがいいと思います。

 

ち:ひっぱったら羽が開いたり閉じたりするようにしたかったのですが、めんどうくさいのでやめました。
いや、そもそも店頭で時間の無い中で作らなきゃいけないので、過剰なものは避けて読者の方が作りやすいように、シンプルにした方がいいですよね。
ですから羽は開いたままにしました…ということにしましょう。

――……おぉ、全然期待してませんでしたが、それっぽくなってきましたね!

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ち:出来上がったものを元に、展開図を書きます。
展開図を元に試作をして調整し、デザインを入れます。
パソコンでの作業になりますが、そこまで手間をかけなくても、今回の場合なら色画用紙を使うとか、色つけについては、みなさんがいつも店頭POPを作る時と同じやり方で問題ありません。
まずパーツを切りわけて、のりしろに両面テープを貼って、組立てていきます。
慣れてないと1時間くらいかかるかもしれません。

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ち:…そして完成したのがコチラ!!

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――これは…!てんとうむしですね!!全く期待してなかったのでなおさら良く見えますね!!!

ち:いいですね。本当はもっとリアルな感じにしたかったのですが、店頭に来たお子さんが泣いてしまうとやっかいなので、カワイイ感じにしました。
目は白目のままでも良いです。(色々な目の書き方はコチラ)ダルマのようにお好きな目を書き込んでもいいです。
目当てのお客さんが居たら、ハートマークにして近づいてください。カスタマイズ!!

 

――それはストーカーっぽいのでやめてください。
しかし…コレっててんとうむしの形をしたタダの帽子ですよね…POPとどういう関係が…。

ち:ギョギョ!ギョの別パーツを使うギョとによって、てんとうむし帽子がてんとうむし帽子POPに大変身するのでギョざいます!!ダミーパッケージを上に貼り付けて、その商品についてスインギョPOPを自作すれば、あら不思議、イチオシ商品を身に着けて歩くワタシになれるという画期的な帽子にギョざいます!!
てんとうむしが好きな、むしクン的なキャラ付けをすれば、すぐにツイッターにアップされて人気者になりますPOP!

 

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商品陳列スペースと、POP掲載スペースが確保されているため、今オススメの商品を販促することも可能だ。

 

――…あ…私、重要な問題を発見してしまったのですが…
これ…正面から見てもてんとうむしだってわかりません…。

ち:ええ。知ってます。想定内です。いいんです。いーんです(カビラ風に)!!
そもそもお店のマスコットでもない、てんとうむしの帽子をかぶってるとかイミわかんないし。
でもね、コレをかぶってることでお客さんとのコミュニケーションが生まれるといいですよね。
だってホラ、今みんなスマホ見てるじゃないですか。他の人のことなんて気にしないから、てんとうむしをアタマに乗せてようが、ちょんまげ付けてようが関係ないっていうか。あ、さすがにちょんまげつけて接客してたら、写真を隠し撮りされてツイッターにどんどん上げられて、”江戸時代にタイムスリップ?「ちょんまげドラッグ○○店」”というまとめサイトができて、「全員ちょんまげだとは思わなかった!」「レジで語尾にござるってつけるwww」「Why?ジャパニーズピーポー!」「センテンススプリング!」などのレスが続々とついて来客増、お店の売り上げにつながると思いませんか?競合他店といかに差別化をするかが重要ですし。
それより今のさかなクンのくだり、無視しましたよね。虫だけに。ギョギョ!

 

――ちょんまげではなく、てんとうむしなんですが…。

ち:立っている時は、後頭部のダミーパッケージとスイングPOPが見えればいいんですよ。
自分が使った商品と口コミの手書きPOPを身に着けて歩けば、「ああ、この人が薦めるんだったら他の店で買おうかな…ヘンな人っぽいし」とか購買意欲を刺激することができますし、そっちの方が重要というか。

 

――イメージ悪くなってるじゃないですか。

ち:「あ、この店員さん、てんとうむしの帽子をかぶってるんだ!」と気づかれるのは、品出しとか掃除でしゃがんでいる時です。
だってホラ、今みんなスマホ見てるじゃないですか。帽子かぶって歩いてたって誰も見てませんよ。
子供と話す時は同じ目線で…と言いますが、しゃがんでいる方がより親近感が湧いて店員さんを身近に感じられます。
「あら~何それ、てんとうむし?ステキねぇ~。で、コレもっと安くならないの?試供品もっとちょうだいよ。」などと子供からお年寄りまで声をかけられやすくなり、「てんとうむしの店員さん」として、お客さんの人生相談に乗っている姿が目に浮かびますね。

 

――…それ、生協の白石さんですかね…?

ち:白石さんと言えば、薬剤師の白石さんも出てくる、森子・F・森夫先生の大人気マンガ「ななほし☆ドラッグ」が読めるのは、てんとうむしWebだけ!
うまいこと言った!
本日は長々とお付き合いいただきありがとうございました!

 

――え!?それ全然落ちてないですよ!?

 

9割がた関係のない話をして去っていった、ちんあなご(助手1号)氏。
言っていることは無茶苦茶だが、他店との差別化を図り、消費者に近いお店にする為の手段のひとつとして、試しに帽子を作ってみるのもいいのかもかもしれない。

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※画像クリックでA3印刷データ(PDF形式1.9MB)をダウンロードできます。

 

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